●ニデック人工視覚システムの方式(STS方式) 人工視覚システムプロジェクトチームが取り組んでいる刺激方式をご紹介します。 海外では、それぞれの研究グループによって独自の人工網膜を提案し、 精力的に研究開発が進められています。 これらの人工網膜は刺激方式によって大きく二つの種類に分類することができます。 一つは、網膜の上側に刺激電極を設置するエピ・レチナル型人工網膜(Epi-retinal Implant)、 もう一つは網膜の下側に刺激電極を設置するサブ・レチナル型人工網膜 (Sub-retinal Implant)です。 両者に共通する点として「電極が網膜に直接接触している」という特徴があります。 網膜の近傍で電気刺激を行うことで、より高解像度の人工視覚を 実現できるのではないかと考えられますが、その一方で、 電極を埋め込む際に網膜を傷つけてしまうのではないかという危惧もされています。 そこで本邦のプロジェクトではこれら諸外国とは異なる独自の網膜刺激方式を新しく提案しました。 Suprachoroidal-Transretinal Stimulation (STS)と呼ばれるこの方式では 眼球強膜半層切開した部位に刺激電極を設置します。 そして、電極が網膜に非接触の状態で刺激を行います。 これによって、手術時の網膜への侵襲を抑えることができると考えられています。 STS方式は、まだ基礎研究の段階ですが、 これまでのいくつかの研究から徐々に有効性が示されてきています。 例えば、盲目のラット(RCSラット:網膜色素変性モデル動物)を用いて機能評価を行ったところ、 STS方式で視覚誘発電位を惹起することが確認されました。 この結果から、網膜色素変性等で失明に陥った患者さんに対して、 STS方式の人工網膜で人工の視覚を生み出すことが可能であると示唆されます。 今後、電極の改良、安全性、機能評価等の研究を進めていく予定です。
ここ最近、出合も仕事とブログのやり過ぎで非常に目が疲れております。。(←だから、何?)