コンピューターなどを介して、
脳と機械を結び、相互に作用させる「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」の研究が、
広がりを見せている。
医療、福祉への応用、ロボット工学との連携をはじめ、
脳機能の解明にも大きな役割を担うようになってきた。研究の最前線を追う。
BMIの医療応用の一つが、失明した人に光をもたらす「人工視覚」だ。
大阪大大学院医学系研究科の不二門尚(ふじかどたかし)教授を中心とした研究グループでは、
徐々に視覚が失われていき、
失明原因の約2割を占める網膜色素変性症の患者の網膜を再建するBMIの研究を、
2001年から進めている。国の脳科学研究戦略推進プログラムにも指定されている。
不二門教授は
「この病気の患者は、進行すると暗室で眼前で手を動かすと分かる程度の視力になる場合が多い。
指の数が分かる視力に回復すれば生活の質は上がる」と話す。
目の構造はカメラに例えると、角膜、水晶体がレンズに、網膜がフィルムに当たる。
我々が見た映像は、電気信号に置き換えられ、
角膜を通り、網膜、視神経を経て脳の視覚野に送られる。
しかし網膜色素変性症では、
網膜にある視細胞の機能が消失しているため、信号が視覚野に届かない。
不二門教授らは、網膜内でわずかに残った神経細胞を電気で刺激し、
光を感じ取れるようにする研究を進めている。
刺激を与えるには、網膜に電極を埋め込む必要がある。
欧米では、網膜を直接刺激する方法を採用。
南カリフォルニア大では、立ち位置から6メートル離れたドアの位置を確認できた患者がいる。
不二門教授らは、刺激する電極を網膜から少し離れた強膜に入れ、
発生した電流を受ける帰還電極を眼球の硝子(しょうし)体内に埋め込む方法を発案した。
「網膜を傷つけることが少なく、手術も比較的簡易だから」と説明する。
臨床研究も始まっている。
2005年9~10月に60歳代の男女各1人、
昨年2月に60歳代の男女各1人の計4人に実施。
4人とも失明してから数年から10年たっており、
最初の2人は、1極の直径が0・2ミリ・メートルのプラチナ電極9個を、
後の2人は直径0・5ミリ・メートルの電極49個をそれぞれ強膜に入れ、
1ミリ・アンペア以下の微弱な電流を流した。
いずれも手術場だけの電極装着となったが、4例中3例は、光を感じられる場所が分かったという。
今後、メガネに取り付けたCCDカメラで得た情報をワイヤを通じて体外装置に送り、
ここで画像処理して、その情報をワイヤづたいで強膜に置いた電極まで運び、
網膜の神経細胞を刺激するシステムづくりを目指す。
実用化の目標は2年後。その時はワイヤではなく、無線にする予定だ。
不二門教授は
「色の識別は難しいが、電光掲示板のように白黒が認識できれば、指の数はわかる」
と指摘する。
臨床研究の4人は、後生の人のために被験者になることを引き受けてくれたという。
それだけに「究極の目標は、本が読めて、歩くことができるようにすることです」。
2009年8月3日 読売新聞
脳と機械を結び、相互に作用させる「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」の研究が、
広がりを見せている。
医療、福祉への応用、ロボット工学との連携をはじめ、
脳機能の解明にも大きな役割を担うようになってきた。研究の最前線を追う。
BMIの医療応用の一つが、失明した人に光をもたらす「人工視覚」だ。
大阪大大学院医学系研究科の不二門尚(ふじかどたかし)教授を中心とした研究グループでは、
徐々に視覚が失われていき、
失明原因の約2割を占める網膜色素変性症の患者の網膜を再建するBMIの研究を、
2001年から進めている。国の脳科学研究戦略推進プログラムにも指定されている。
不二門教授は
「この病気の患者は、進行すると暗室で眼前で手を動かすと分かる程度の視力になる場合が多い。
指の数が分かる視力に回復すれば生活の質は上がる」と話す。
目の構造はカメラに例えると、角膜、水晶体がレンズに、網膜がフィルムに当たる。
我々が見た映像は、電気信号に置き換えられ、
角膜を通り、網膜、視神経を経て脳の視覚野に送られる。
しかし網膜色素変性症では、
網膜にある視細胞の機能が消失しているため、信号が視覚野に届かない。
不二門教授らは、網膜内でわずかに残った神経細胞を電気で刺激し、
光を感じ取れるようにする研究を進めている。
刺激を与えるには、網膜に電極を埋め込む必要がある。
欧米では、網膜を直接刺激する方法を採用。
南カリフォルニア大では、立ち位置から6メートル離れたドアの位置を確認できた患者がいる。
不二門教授らは、刺激する電極を網膜から少し離れた強膜に入れ、
発生した電流を受ける帰還電極を眼球の硝子(しょうし)体内に埋め込む方法を発案した。
「網膜を傷つけることが少なく、手術も比較的簡易だから」と説明する。
臨床研究も始まっている。
2005年9~10月に60歳代の男女各1人、
昨年2月に60歳代の男女各1人の計4人に実施。
4人とも失明してから数年から10年たっており、
最初の2人は、1極の直径が0・2ミリ・メートルのプラチナ電極9個を、
後の2人は直径0・5ミリ・メートルの電極49個をそれぞれ強膜に入れ、
1ミリ・アンペア以下の微弱な電流を流した。
いずれも手術場だけの電極装着となったが、4例中3例は、光を感じられる場所が分かったという。
今後、メガネに取り付けたCCDカメラで得た情報をワイヤを通じて体外装置に送り、
ここで画像処理して、その情報をワイヤづたいで強膜に置いた電極まで運び、
網膜の神経細胞を刺激するシステムづくりを目指す。
実用化の目標は2年後。その時はワイヤではなく、無線にする予定だ。
不二門教授は
「色の識別は難しいが、電光掲示板のように白黒が認識できれば、指の数はわかる」
と指摘する。
臨床研究の4人は、後生の人のために被験者になることを引き受けてくれたという。
それだけに「究極の目標は、本が読めて、歩くことができるようにすることです」。
2009年8月3日 読売新聞
はい。
この人工網膜については、2006/2/13にも、当ブログにて記事にさせてもらいました。
↓人工網膜の事。
http://blogs.yahoo.co.jp/yqsbc547/26295327.html
この人工網膜については、2006/2/13にも、当ブログにて記事にさせてもらいました。
↓人工網膜の事。
http://blogs.yahoo.co.jp/yqsbc547/26295327.html
少しずつですが、研究が進んでいるみたいですね。