割れたりひびが入ったりしても、
押しつけてしばらくすれば元に戻る自己修復プラスチックを、
東京大学の相田卓三教授らの研究チームが開発した。
ふつうのプラスチックに少量混ぜるだけで
自己修復する性質を持たせられる可能性があるという。
スマホや自動車などに使えそうだ。日本化学会の年会で26日、発表した。
相田さんたちは2018年、「ポリエーテルチオ尿素」という材料を使い、
割れたかけらを室温で押し当てていれば、
自然に元通りにくっつくプラスチックを開発した。
研究チームは今回、このプラスチックを2割ほど、
自己修復しない別の種類のプラスチックに混ぜてみた。
すると、室温で自己修復する特徴を持ったプラスチックができた。
プラスチックは、多くの分子が鎖のようにつながり、からみあってできている。
プラ製品が割れると、この分子の結びつきがほどける。
修復するには通常、高温で溶かしてからみあいを戻す必要がある。
開発したプラスチックでは、
ほどけた分子の鎖が「水素結合」というしくみで固定され、修復される。
割れたプラ同士を室温で1時間ほど押しつけると、強度が完全に回復する。
目に見えないプラ内部に生じた傷も元に戻るという。