工学院大学工学部の雑賀(さいか)高教授らの研究グループが、 液化アンモニアを燃料とした「燃料電池自動車」を開発した。 アンモニアから取り出した水素を酸素と化学反応させ、発生した電気を動力とする仕組み。 約1リットルのアンモニア燃料で連続75分間の走行能力がある。 液化アンモニアを燃料とする自動車の開発は国内では初めてとしている。 爆発などの危険のある液化水素を使用する従来の燃料電池自動車に比べ 安全性が大幅に向上できるなどのメリットがある。 下水処理などで回収したアンモニアを有効活用できる可能性もあるという。 水素を燃料とする燃料電池車は、水しか排出しない“究極のエコカー”として 自動車メーカーなどが開発を進めている。 研究グループが開発した燃料電池車は、市販の軽自動車がベース。 液化アンモニアのボンベ、アンモニアから水素を取り出す分解装置、 電気を発生させる燃料電池システム、電気を蓄えるバッテリー、駆動用の電気モーターを搭載した。 車体の総重量は850キロ。 この他行った実験では75分間に平均時速30キロで37.5キロを走行できることを確認した。 ボンベの容量は10リットルだが、 分解装置から、水素を取り出した後のアンモニアを除去する必要があるため、 現段階では約1リットル分の連続走行しかできないという。 ただ、雑賀教授は、「改良により走行時間をさらに伸ばすことは可能」としている。 このほか、高濃度のアンモニアガスが発生し漏れ出すと、 生命の危険が及ぶため、接合部の密閉などの技術開発も今後の課題になる。 従来の燃料電池車に使用している水素は、圧縮してボンベに詰めるために、 マイナス253度まで冷却し液化する必要がある。 冷却には多大なエネルギーが必要なうえ、爆発の危険もある。 水素を液体ではなく吸蔵合金と呼ばれる材料に吸収させて爆発を防ぐ方法もあるが、 重さが100キロ以上になるといわれている、 これに対し、液化アンモニアは、水素よりも少ないエネルギーで液化できるほか、 化学肥料の原料に使われており、取り扱い実績やノウハウが豊富にあるなどメリットは多い。 水素を取り出す媒体としてはメタノールも検討されているが、 分解の際に二酸化炭素(CO2)やメタンといった温室効果ガスが発生するのに対し、 アンモニアは炭素原子を含まず、温室効果ガスを排出しない。 雑賀教授は、 「水素エネルギーの『キャリアー(運び役)』としてのアンモニアの可能性を実証したという点で 意義が大きい」と話している。 画像:工学院大学工学部の雑賀教授の研究グループが開発した 液化アンモニアを燃料とする燃料電池車 FujiSankei Business i. 2007/2/16
燃料電池にも色々な種類があるんですね。
様々な環境への低負荷な車が開発されていますが、どの車が今後、主流になるのか?