ディーゼルエンジンは燃費が良く二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。
日本では燃料の軽油の値段も安い。
しかし、酸性雨や光化学スモッグの原因となる窒素酸化物(NOx)や
粒子状物質(PM)が問題だ。ホンダはNOxを減らす独自の技術を開発した。
◆2層の触媒
ディーゼルの排ガスには酸素が多く含まれており、NOxの浄化が難しい。
アンモニアなら、酸素が多い状態でもNOxを窒素(N2)にすることができる。
問題は、エンジンの排ガスに混合するアンモニアをどうやって供給するかだった。
アンモニアは有害な気体で扱いにくい。代わりに原料の尿素を積む手もあるが、
それには尿素水を入れるタンクがいるうえ、利用者が尿素を補充してくれる保証もない。
ホンダが採用したのは、排ガス中のNOxを利用して、
アンモニアを上下2層の触媒内部で発生させる方法だ=画像参照。
(1)通常の酸素が多い燃焼状態では、排ガス中のNOxを下層に吸着させる。
(2)一時的に酸素が少ない状態にすると、排ガス中の一酸化炭素(CO)と水(H2O)が、
NOx吸着層にあるNOxと反応してアンモニアができる。このアンモニアを上層に蓄える。
(3)通常の燃焼状態に戻すと上層のアンモニアが排ガス中のNOxと反応、
無害な窒素(N2)になって排出される。
2層触媒方式にすることはすぐに決まった。
だが、この方式では燃焼室の酸素量を正確に制御する必要がある。
もともとガソリンエンジンは空気量を調整して燃焼を制御している。
ここで、ガソリンエンジンで培ったホンダの技術が生きたという。
◆音・振動低く
本田技術研究所の長弘憲一・上席研究員が独自のディーゼルエンジン開発を命じられたのは98年。
当時、欧州ではディーゼル車の販売が増えつつあったが、ホンダには自前のエンジンがなかった。
めざしたのは音や振動がガソリンエンジンなみに低いエンジン。
ホンダのディーゼルに「燃費が良い」だけでは許されなかった。
「ホンダはガソリン屋。周囲が音や振動に敏感で、
ガソリンよりうるさいと『何だ、これは』と相手にされなかった」
03年、自社エンジン搭載のアコードを欧州で発売した。
米国で売るには厳しい環境基準を満たさなければならない。
2層触媒方式はそのための切り札として開発した。
〈メモ〉中大型はディーゼル、小型はハイブリッド、というのがホンダの環境戦略。
新型ディーゼルエンジンの搭載車種は未定だが、アコード以上が有力視されている。
09年にも日米市場に投入される予定だ。
asahi.com be on sunday 2007 02 04
いや~。悪者の
ディーゼルエンジンも新技術投入で見直されつつありますね~。
しかし、ホンダは色々な分野で技術屋魂を発揮していますね~。