バイオエタノール100%の燃料でも走る「フレキシブル・フューエル・ビークル」(FFV市場)に、
日本メーカーの参入が本格化してきた。
バイオエタノールは大気中の二酸化炭素(CO2)量の増減に影響を与えない、環境に優しい燃料。
自動車市場の成長が続くブラジルが国を挙げてFFV普及に取り組むなど、
各社とも無視できない存在となっている。
しかも、FFVはガソリン車との違いが少なく開発しやすいというメリットもあり、
今後も各社の参入が続きそうだ。
トヨタ自動車はブラジルで今月25日、FFVの「カローラFlex」と
「カローラフィールダーFlex」の発売を始めた。月間販売目標は3250台。
4月のトヨタの販売台数約6000台の半分程度にあたる。
ホンダは昨年11月に、日本メーカーとして初めてブラジルにFFVを投入した。
「シビック」と「フィット」の2車種で、1~4月の販売台数は合計4735台。
ホンダの販売台数全体の2割以上をFFVが占め、
ブラジルでは今後、「シビックはスポーツタイプ以外はすべてFFVにする」(ホンダ)という。
三菱自動車も四輪駆動車「パジェロ・イオ」のFFV版を6月にも投入する予定だ。
各社がFFV投入に動き出した背景には、ブラジルでのFFVの普及の速さがある。
ブラジルは国策としてバイオエタノールの燃料化に取り組んできた。
ガソリンスタンドではガソリンとバイオエタノールを好きな比率で給油することができ、
バイオエタノールへの税率はガソリンより安い。
「ガソリン価格上昇で、FFV人気が加速している」(関係者)という。
FFVが初めてブラジルに投入されたのは、わずか4年前の2003年。
しかし、今では単月の新車販売台数に占めるFFV比率は、82%に達している。
バイオエタノールも燃焼時にはCO2を排出するが、それはもともと、
原料となる植物が大気中から取り込んだもののため、
FFVは「大気中のCO2量には影響を与えない」とされる。
また、FFVエンジンはバイオエタノールでも劣化しない金属加工などを要するが、
基本的にはガソリンエンジンと同じ構造で、
ハイブリッド車やディーゼル車に比べて生産コストが安い。
「自動車メーカーにとっても取り組みやすい環境対策」(関係者)となる。
ブラジルの自動車販売台数は2006年で192万7732台と前年比12・4%増。
中国、インド、ロシアと並ぶ新興国市場として、今後も高い成長が見込まれている。
現在は歴史的に関係が深い欧州メーカーのシェアが高いが、
今後はFFV投入で世界各国のメーカーによる販売競争が過熱しそうだ。
最終更新:5月28日8時0分 産経新聞
ブラジルが国を挙げて
バイオエタノール車の拡大に取り込んだ事は評価できますけどね。
日本じゃ無理かも。