燃料不要、船のエンジンが出す排ガスの熱だけで航行中に発電機を回し、 電力を蓄える装置を独立行政法人・海上技術安全研究所などが開発、7日公開した。 停泊中の船は発電用エンジンで電源を確保しているが、 蓄えた電気を使えば、余分な燃料消費や排ガスによる大気汚染が抑えられる。 同研究所は、今秋にも商用の大型運搬船に装置を搭載、発電能力や省エネ効果を確かめる。 この装置は「スターリングエンジン」を活用。 シリンダーの中で燃料を爆発させてピストンを動かす一般のエンジンと違い、 シリンダーを外から加熱・冷却して内部の気体を膨張・収縮させることで、ピストンを作動させる。 これまで、駆動用に1000度以上の熱源が必要だったが、 同研は素材に銅を使って熱の伝導率を高めるなどの工夫をして、 船のエンジンの排ガスと同程度の、360~400度で動かすことに成功した。 1台あたり500ワットの発電能力があり、 小型船に3台積んで50時間航行すると、停泊時に10時間程度使える電力がたまるという。 平田宏一主任研究員は 「低い温度で動くので、工場や火力発電所の排熱も使える。 エンジンを大型化して、パワーを上げたい」と話している。 (2007年9月7日19時33分 読売新聞)