猛暑が続く大阪市内で、ヒートアイランド対策として、 市営住宅を水道水を霧状(ミスト)にして散布することで冷やす実証実験がスタートした。 壁面や屋上、ベランダにミスト散布することで、 鉄筋コンクリート5階建て市営住宅全体の温度上昇を抑える「冷やし住宅プロジェクト」。 室温を下げるだけでなく、エアコンの電気消費量低下も期待できるという。 実験は大阪大学大学院工学研究科の研究グループと市水道局が共同で実施。 建て替えのために、今年7月に住民が退去したばかりの 市営茨田横堤北住宅3号棟(同市鶴見区)を使って10月31日まで行う。 この住宅の総戸数は20戸で住宅の屋上、壁面、ベランダなどで それぞれ条件を変えながら水道水をミスト化して噴射。 水が蒸発する際に熱を奪う現象を利用して、温度を下げる効果を狙う。 実験ではミストの有無で比較して、効果を検証することにしている。 壁面では、2階部分の外壁に取り付けた噴霧器でミストを噴射。 すでに、噴射しなかった壁面の温度が37度だったのに対し、 ミストを噴霧した場所の外壁の温度が30度にまで低下する結果が出ている。 外壁に噴霧するかどうかで、室温にも2~3度の差があるという。 また屋上部分での実施では、最上階は約1度の温度差が発生。冷却効果が確認できたという。 一方、エアコンの室外機にミスト噴霧を行うことで電気代の節約効果も。 理論的には10%程度の節約も可能だという。 市水道局によると、エアコンなどの場合は、室内が涼しくなる半面、 室外機などによって室外温が高まる弊害もあるが、 ミストの場合は室内外をともに冷やす効果がある。 「エアコンでは室内しか冷却できないが、ミストでは廊下など外部の公共空間も冷やす効用がある」 と期待を寄せる。 ミスト機器は比較的単純な構造のため、低コストで簡単に取り付けられるという。 実験では、ミスト噴霧によるカビなどの影響についても検証する。 産経新聞(2007/08/13 11:28)
画像は、「USJにあるミストゾーン」「ミストの効果」「外国のミスト噴出例」です。