アリゾナ州フェニックスのスターリング・エナジー・システムズ社。 同社は、大きくて効率の高い集光器と200年の歴史があるスターリングエンジンの仕組みを 組み合わせた発電装置を手がける新興企業だ。 スターリング社は、2つのソーラーファームの建設を計画している。 1つはエジソン社向けに、カリフォルニア州ビクタービル近くのモハーベ砂漠に建設する 発電容量500メガワット級の施設。もう1つはSDG&E社向けに、300メガワット級の施設を 同じくカリフォルニア州のキャレキシコ近くのインペリアル・バレーに建設する予定だ。 電力会社2社はこれらの施設が発電するすべての電力を20年にわたって購入する契約を締結しており、 仮にそれらの発電施設がうまくいけば、施設を拡大するオプションも設けられている。 エジソン社の広報担当ジル・アレクサンダー氏は次のように述べた。 「これは間違いなく、世界最大の太陽発電プロジェクトだ。 全米の太陽エネルギープロジェクトを合わせた規模をも凌ぐものになるだろう」 スターリング社は、光電池――何十年もの間、太陽発電の中核を担ってきた――の代わりに 高さ約12メートルの放物面型集光器(写真)を使い、太陽エネルギーをスターリングエンジンに集める。 スターリングエンジンはシリンダー内に水素を詰めて完全に密封したシステムで、 外部燃焼エンジンとも呼ばれる。考案されたのは1816年。 スコットランドの牧師でもあった発明者ロバート・スターリングにちなんで名付けられた。 1点に集められた太陽エネルギーの温度は摂氏732度に達し、 これが水素を熱して膨張させ、エンジンの4つのピストンを動かす仕組みになっている。 スターリングエンジンは200年間にわたり存在しているが、 これまで動力源として太陽を利用しようという取り組みはほとんどなかったと、 スターリング社のブルース・オズボーン最高経営責任者(CEO)は話す。 オズボーンCEOによると、スターリング社の集光器の変換効率は30%――太陽エネルギーの30%が 電力に変換される――で、従来型の光電池の2~3倍効率が高いという。 「ソーラーパネルはより一般的になり、効率も改善されてきたが、まだまだだ」 とオズボーンCEOは言う。 オズボーンCEOによると、エンジンは密封されたシステムで詰め替えの必要がないため、 同社の集光器はメンテナンスが容易だという。 これは、砂漠の真ん中に設置される大規模な施設にとって重要な要素だ。 実際、システムに唯一必要な資源は「数週間ごとにミラーを洗浄するためのわずかな水」 だけだという。 スターリング社は現在、コンセプトを披露するためにサンディア国立研究所で 6つの集光器を使った試験施設を運営している。 ただし、商業契約のプロジェクトとしては、エジソン社とSDG&E社の発電施設が初めてのものとなる。 エジソン社のプロジェクトでは、第1段階として、 40の集光器を使った1メガワットの試験施設を建設する。 これは2007年春に完成する予定。 そして2008年中頃から3~4年がかりで、最終目標である500メガワットの施設を建設する計画だ。 ゆくゆくは約18平方キロの砂漠に、 発電容量が最大25キロワットの集光器が2万個並ぶ(イメージ)ことになる。
もっと私自身、更にスターリングエンジンの事を勉強していきます。