自動車メーカーのホンダが開発した太陽電池「CIGS型」は、 シリコンを原料としない次世代型の太陽電池だ。 シリコン型太陽電池の約80分の1の薄さで、 製造時のエネルギー消費量や二酸化炭素(CO2)排出量も半分で済み、 製造コストも抑えられるという。 ■極まる薄さ 現在、世界の太陽電池の大半は、シリコンを使う「結晶シリコン型太陽電池」。 太陽電池生産量が世界一の日本でも、 世界シェアトップのシャープをはじめ、主にシリコン型太陽電池を生産する。 だがパソコンや携帯電話などの部品にも使われるシリコンは、深刻な品薄状態になっている。 ホンダは1986年からシリコンを使わない太陽電池の開発に着手。 試行錯誤を繰り返しながら、今年10月から、熊本県大津町にあるホンダの子会社、 ホンダソルテックの工場で量産を始めた。 一般的な太陽電池は、シリコンでできた2種類の半導体を張り合わせた構造になっている。 光があたると電子がプラスとマイナスに分かれ、電圧が生じる=図下。 ホンダの「CIGS型」は、ガラス基板の上に、 銅、インジウム、ガリウム、セレンからなる金属化合物の薄膜を張る (C、I、G、Sは四つの元素記号の頭文字)。 化合物の配合などに企業秘密があるそうだ。 さらにバッファー層を重ね、電池構造にした=図下。 膜の厚さはわずか0.0024ミリで、シリコン型太陽電池より薄くて色が黒いのが特徴だ。 タテ79センチ、ヨコ45.5センチの電池1枚を3枚組み合わせて一つのモジュールにする。 モジュール24枚で、平均的な家庭1世帯分の電力(約3キロワット)をまかなえる。 ■課題は効率 開発を担当した鈴木康浩・ホンダソルテック取締役技術部長(49)によると、 最も苦労したのは、太陽光をむらなく吸収する品質を維持することだった。 光を電気に変換する効率を示す光電変換効率は11%と、15%前後のシリコン型にまだ劣る。 変換効率の向上が今後の課題だ。 CIGS型の太陽電池は昭和シェル石油のほか、 海外メーカーも手がけ、開発競争が激しくなっている。 それでも、ホンダの福井威夫社長は 「乗り物の楽しさを次世代に伝えるためにも、化石燃料に頼らないエネルギーの開発を続けてきた」 と語る。 同社は米カリフォルニア州で01年から、 この太陽電池を使った燃料電池車向けのステーションを稼働させ、 太陽光をエネルギーとするエコカーの実現を追い求めている。 画像上:ホンダの「CIGS型太陽電池」。黒色で薄いのが特徴だ。 asahi.com 2007/12/09
下記にホンダの色々な製品開発を紹介しておきますね。