松下電器産業は20日、太陽熱や機器の排熱を熱源として利用でき、 熱効率の高い「スターリングエンジン」の実用化にめどをつけたことを明らかにした。 家庭用給湯器にこのエンジンを搭載した発電機を組み込んだコージェネレーションシステムとして、 平成22年にも商品化する。 排ガス中の窒素酸化物などの有害物質を減らせるほか、 騒音や振動も小さいのが特徴で、松下では「将来性が高い」と期待を寄せている。 開発を手がけたのは松下の社内ベンチャー、eスター社。 これまで宇宙航空研究開発機構や海上技術安全研究所と共同研究を進めてきたが、 新エネルギー・産業技術総合開発機構の技術開発プログラムに採択され、実用化に弾みがついた。 スターリングエンジンは、シリンダー内に気体を封入し、 外側から加熱と冷却を繰り返すことでピストンを作動させる仕組み。 eスター社は発電時のロスを減らすため、 外部の熱を内部の気体に伝える材料として熱伝導性に優れたセラミックスを採用。 超高温下でも運転可能という。 熱電併給システムはスターリングエンジン発電機と貯湯タンク、 バックアップ給湯器、制御コントローラなどで構成。 家庭内の電力消費量が400ワット以上になると起動し電力を供給する。 試算では、真夏のエアコン利用時といった電力消費の激しい時期を除くと、 3人家族の電力をまかなえるという。 1年間の電気代や給湯代(推定約16万円)を4分の1程度節約でき、 3割程度の二酸化炭素削減効果も見込まれている。 eスター社のCEOを務める赤澤輝行さんは松下の技術者だったが、 2年前に社内ベンチャー支援制度を活用してeスター社を設立した。 性能の安定性の検証や量産化に向けたコスト削減といった最終調整を進めており、 「今まで捨てられていた熱をエネルギーとして復活させることができる。 21世紀型の環境エンジンだ」と話している。 Sankei Web (2007/09/20 20:37)
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