deahiro’s blog

ネットの場末で、ひっそりと。。

月の資源の事。

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◆ヘリウム3狙う中国

日本とインドの探査機はあくまで観測に徹し、
米国は月面基地建設を有人火星探査実現のためのステップと位置づけているのに対して、
中国の月探査構想は、国威発揚とともに、資源獲得をあからさまにその目標としている。 

宇宙船「神舟(シェンチョウ)5号」で03年についに有人宇宙飛行をなし遂げた中国は
今年中に伝説の月の仙女の名を冠した月探査機「嫦娥(チャンア)1号」を打ち上げようとしている 

「嫦娥計画」では2号は月面車を載せて月面に着陸、
3号は月面の土壌サンプルを地球に持ち帰る。

遅くとも25年までに有人宇宙船で宇宙飛行士を月面に降り立たせようともくろまれている。 

中国科学院の責任者が「月が地球の資源貯蔵庫になりうる」
と色めき立って言及しているのが、核融合燃料となるヘリウム3の存在だ。 

地球上ではヘリウム全量の100万分の1しか存在しない同位体元素のヘリウム3は、
太陽内部で起きている核融合反応でつくられる。
それが太陽コロナから放出される粒子の流れである「太陽風」に乗って月に届き、
大気のない月面の砂にそのまま吸着しているというのである。 

砂を加熱処理すれば取り出せるヘリウム3を月全土から手当たり次第かき集めれば、
世界の消費電力の数千年分に等しいエネルギー源になるともいわれ、
中国は恐らく月からヘリウム3を「輸入」して核融合発電に利用しようとする
遠大な資源開発計画を練りつつあるようだ。 

ところが、この計画を実行するには、おびただしい難題が立ちふさがっている。 

東大高温プラズマ研究センター長の小川雄一教授によると、
いま最先端で研究されている重水素三重水素を燃料とした核融合反応に比べて、
ヘリウム3と重水素を反応させる核融合は、
放射性物質を激減させる理想の「先進核融合」を実現する。
だが10億度を超える高温でなければ反応が起こりにくく、実用化の道筋はおぼろげだという。 

「月面のヘリウム3を利用した核融合は、
  アポロ計画の成果を強調するように80年代にアメリカで提唱されましたが、
  現状ではアカデミックな研究価値はあるものの、まだまだ基礎研究の段階です」
と小川教授は言う。
 
うがった見方をすれば、米国と張り合う性急な宇宙開発計画に大衆を「実利」で納得させる
プロパガンダの色合いも透けて見えそうだ。 

参考情報:月や惑星探査の基本原則を定めた国際条約に「月協定」があり、
         月とその天然資源は人類共有の財産として、いかなる国家,団体,個人の所有権も否定し
         軍事利用も禁止している。しかし1984年に発効してから、
         日本をはじめ、独自に宇宙開発に取り組んでいる国はほとんど批准していないため、
         有名無実化している。 

                                  asahi.com 2007/03/31

いや~。ヘリウム3ねぇ~。全世界の消費電力の数千年分ねぇ~。