deahiro’s blog

ネットの場末で、ひっそりと。。

この技術、宇宙育ちの事。

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スペースシャトルが1年ぶりに飛行を再開し、
日米欧による国際宇宙ステーションの建設が急ピッチで進む見通しになった。
宇宙開発は夢やロマンと絡めて語られることが多く、
具体的な成果の見えにくい場合も少なくなかったことから、
「無駄遣いだ」との空気がつきまとってきた。
だが、私たちの身の回りでは、今やいたるところで「宇宙の技術」が使われている。
宇宙ステーション完成後に控えている月面探査では、
月の資源の利用というかつてない実益も視野に入っている。 

■民生転用で快適生活 
4月に売り出されたその塗料は、小麦粉を水で溶いたような質感をしている。
特殊なセラミックの微粒子が主成分。
屋根や壁に塗れば、夏は屋外の熱が侵入するのを防ぎ、冬は室内の熱を逃がしにくくする。 

開発した日進産業(東京都板橋区)の石子達次郎社長は
「冷暖房費を2~3割は節約できる。売れゆきは好調です」という。 

宇宙航空研究開発機構JAXA)とライセンス契約して開発した。
「零下100度~プラス150度」という幅広い断熱性能を支えているのは「宇宙の技術」だ。 

日本の主力ロケットH2Aの先端には、人工衛星を収めるカプセル(フェアリング)がある。
上昇する際、空気との摩擦でフェアリングの外側は最高300度にもなるため、
精密機器である衛星を熱から守る断熱材が塗られている。 

社員16人ほどの日進産業は10年以上前に独自開発した断熱塗料を、
JAXAの技術をもとに改良した。
「これまでも新幹線の車両基地や学校、コンビニ、住宅などで幅広く使われてきましたが、
  より幅広い温度に対応できる製品ができた」と石子社長。
「抜群の技術力があっても、中小企業が信頼されるのは難しい。
  JAXAと提携しているという事実が信頼の証しとなる」という「波及効果」もある。 

■新製品、年40~50種 
米航空宇宙局(NASA)は、58年の設立時から、宇宙技術の民生利用を数多く実現してきた。 
人類初の月探査を実現した60~70年代のアポロ計画では、
▽月までの距離を測定する技術→レーザーメスなどのレーザー装置
▽月面の画像のデジタル信号を処理するプログラム→医療用CT(コンピューター断層撮影装置)など
  の画像処理システム
▽宇宙食→インスタントコーヒーを始めとするフリーズドライ食品、といったものがあった。 

こうしたスピンオフ(技術移転)は76年以降、約1400件。
新製品は年40~50種類にのぼっている。
NASAは「米国人の日常生活は、幅広い分野で宇宙技術の恩恵を受けている」。 

日本発のスピンオフもある。 
例えば、地球資源衛星ふよう1号(92年打ち上げ)の資源探査技術を応用した糖度センサー。
熊本県のミカン、長野県の桃やリンゴ、北海道のトマトなど全国各地の産地で、
皮をむかずに糖度を調べる作業に活躍している。
7月には、野菜の新鮮度を調べる小型測定器も売り出された。 

ロケットエンジンの振動防止装置を応用し地震の時に建物の揺れを減らす装置も開発された。
JAXAによると、「04年の新潟県中越地震で、この免震装置に救われた建物がある」という。 

JAXAが持つ約1千件の特許のうち、スピンオフに適しているのは100件くらい。
新たなニーズを開拓するため、JAXAは、
産業界の事情に詳しいコンサルタント3人と契約している。 

知的財産グループの寺澤勝也グループ長は「年に最低1件の大型スピンオフをまとめるのが約束だ」。
ノルマを達成できず、クビを切った例もあるそうだ。 

企業とのライセンス契約は、細かいものも含めて年間40件ほど。
JAXAの収入は年間1000万円で、同1800億円の宇宙予算に比べて微々たるものだ。
「目先の利益よりスピンオフの拡大を優先し、
  ライセンス料を製品の売り上げの4%以下に抑えている。お買い得ですよ」と寺澤さん。 

■月の資源に各国熱視線 
さまざまな波及効果があるとはいえ、宇宙における技術開発は効率的なものばかりではない。
米国では、「NASAは無駄遣いをしている」という批判が常にある。
戦略国際問題研究所(ワシントン)のジェームズ・ルイス部長は、次のようなジョークを挙げる。 

その昔、米国の飛行士が無重量の宇宙空間ではボールペンが使えないことを発見。
NASAに委託された企業が、数億円かけて宇宙ボールペンを開発した。
だが、同じころ旧ソ連の飛行士は、安価な鉛筆で黙々と任務をこなしていた――。 

ルイス部長は「宇宙予算の巨大さを考えると、スピンオフの費用対効果は不十分だ」という。 

ただ、だからといって米国民が宇宙開発そのものに反対しているわけではないと、
ジョージ・ワシントン大のジョン・ログスドン宇宙政策研究所長は説明する。
「スピンオフは部分的な問題にすぎない。宇宙開発が支持されているのは、
(探査や観測といった)本筋の成果があるからだ」 

ブッシュ大統領が新宇宙戦略(04年)で月や火星の有人探査の構想を盛り込んだのも、
国民受けする新たな「本筋の成果」を狙ったからだ。
ログスドン所長は「大統領は月の資源の経済的な利益をも期待している」と指摘。
将来、月面基地や月から火星へ行くロケットの燃料などに月の資源を有効活用すれば、
スピンオフとはけた違いに大きな実益があると米国は見ている。 

月に熱い視線を送る流れは米国に限った話ではない。
各国の宇宙政策に詳しい未来工学研究所の稗田浩雄理事によると、
月の資源が有用だというのは、ロシアや中国、インドなど国際的な共通認識だという。
「日本にも月の鉱物を探る月周回衛星セレーネ(07年度に打ち上げ予定)があるが、
  さらに長期的な戦略で宇宙政策を考える必要がある」 

〈キーワード:スピンオフ> 宇宙や軍事の分野で使うために開発された技術のうち、
                          本来の目的を離れて民生用に活用されているものを指す。
                          直訳すれば、「予期しない波及効果や副産物」だが、
                         「技術移転」と意訳される。

                                                            asahi.com  2006年07月30日

いや~。宇宙開発技術の民間への流用は、F-1技術や軍事技術の民間流用と同じく、
そんなに進んでないでしょうね~。出合個人としては、火星に人を送る計画には諸手を上げて
賛成とは言えないですね~。何十兆円も出して、他にする事あると思うんですよ。。。