来年夏に東海道・山陽新幹線に登場する次世代の新型車両「N700系」の走行試験が続いている。 特に省エネ性能の向上に力を注ぎ、最高速度は初代0系より50キロ速い270キロ (山陽区間は300キロ)に向上した一方で、3割以上の消費電力量削減を実現。 開発したJR東海とJR西日本が「究極の車両だ」と胸を張るほどだ。 このほど行われた試乗会に乗車し、新型新幹線の秘密を探った。【江口一】 ◆減速せず曲がれ 「曲線区間に進入……通過します」。東海道新幹線の静岡-掛川間でこんなアナウンスが流れ、 カーブに突入した。速度はまったく落ちない。再び直線区間に入る際の再加速もない。 曲線区間では遠心力を打ち消すために空気バネが車体の外側をちょっと持ち上げていることが、 モニターに映し出されていた。新幹線で初めて採用された「車体傾斜システム」だ。 在来線では導入され「振り子式列車」と呼ばれているが、新幹線ではN700系で初めて採用された。 従来は遠心力による車体の傾きを抑えるために曲線区間では最高速度の時速270キロから 250キロまで減速し、カーブを抜けると再加速しなければならなかった。 この減速と加速の繰り返しを極力なくすことで消費電力を大幅に減らした。 「時速270キロは飛行機の離陸時とほぼ同じ速さ。この速度で曲線を走り抜けるのは至難の業」 (JR東海)。それを可能にしたのは、列車の速度や位置をリアルタイムで把握する新ATC (自動列車制御装置)システムや、その情報を記録済みの線路データと突き合わせ、 1編成16両の車両を1両ごとに適切な傾斜に制御する 高性能のコンピューターが搭載できるようになったからだ。 N700系では加速性能も向上。時速270キロに達する時間が、 700系の300秒から180秒まで縮まった。 東京-大阪間の所要時間は、現行より5分短縮される。 ◆なくせ空気抵抗 省エネのもう一つの決め手は、空気抵抗をできるだけなくすことだった。 700系の先頭車両はカモノハシのくちばしに似た「エアロストリーム形」と呼ばれるが、 N700系は先端部分がやや太く、運転席に近い「鼻」の部分がやや鋭角の 「エアロダブルウイング形」だ。 最も空気抵抗に影響する先頭車両は、三角すいのように先端部分を鋭角にし、 滑らかに徐々に太くしていくのが理想的だ。 しかし、あまり先頭部分を長く取れば、ドアの位置や座席数に影響する。 700系の先端部分(約9・2メートル)と同程度の長さで、 なお空気を滑らかに流すにはどうしたらいいのか。 今回、設計に初めて航空機の翼を設計する手法を導入。 スーパーコンピューターを用いていくつものパターンの仮想車両を三次元で解析し、 最後は模型による風洞実験を繰り返して最適な形状を決定した。 このほか車両の連結部を覆う「全周ホロ」、車体の下部を覆う「台車スカート」、 窓と車体との「段差」をなるべく隠す--などにより、空気抵抗を20%軽減した。 さらに700系より1編成あたりの重量を8トン(0系からは270トン)減らすなどの結果、 N700系の消費電力は0系から32%、700系と比べても19%削減できた。 運行上のコスト削減効果も大きいとみられ、来年の夏以降3年間で54編成を集中投入する方針だ。 画像上:走行試験で東京駅に到着したN700系車両=2006年10月12日、兵藤公治写す 画像下:従来の車両(下の画面)と傾きの違いを示す車体傾斜監視画面、 2006年10月12日、兵藤公治写す 毎日新聞 2006年10月23日 東京朝刊
いや~。新しい新幹線、楽しみですね~。
乗り心地もどうなんでしょうね~。また東京や名古屋出張があるかしら~?
乗り心地もどうなんでしょうね~。また東京や名古屋出張があるかしら~?