水でゴクンとのみ込むカプセル、実は薬ではなく内視鏡だ。 長さが2.3センチ、直径は9ミリしかない。 ◆使い捨て型 現在広く使われているファイバースコープの内視鏡は、 口から入れるものも、肛門(こうもん)から入れるものも普通、小腸には届かない。 腸壁を傷つけたり、再使用して感染症をうつしたりする恐れもある。 また、長い管を体内に入れ、患者につらい思いをさせる。 開発中のカプセル型内視鏡は、これらの欠点の克服をめざす。 胃を抜けると腸管にすっぽり収まる。 腸の壁が収縮して食物を先へ送る運動により、約6時間かけて小腸から直腸まで巡る。 その間、映像を体外に送信し続け、最後はトイレへ、の使い捨て型だ。 ◆内筒が回転 開発でリードしているアールエフ(本社・長野市)の製品「サヤカ」は 「カプセルが二重になっているのがミソです」と丸山次郎社長。 外筒は腸壁に接し、中で内筒がクルクル回転する。 内筒にはCCDカメラ(デジカメ)が横向きに備えられ、 腸壁を発光ダイオード(LED)で照らして、毎秒30コマずつ360度撮影していく。 内筒が腸壁にじかに接していないので、容易に回転できる。 電力は、内視鏡をのむ人が着るベストから電波で供給され、カプセル内のコイルで受ける。 カプセルから発信する画像情報はベストに内蔵した受信装置にたまる。 ベストは充電池を備え、検査中も電源コードなしで動き回れる。 得られた画像データを連続的にまとめると、腸を縦に切り開いたような、 6~8メートルの細長い1枚の画像ができる。まるで「腸の絵巻物」。 異常個所があれば一目瞭然(りょうぜん)で、 そこが肛門から何メートル何センチの位置かもズバリだ。 「サヤカ」のカプセルはプラスチック製で、CCDカメラは41万画素。 今春から臨床試験を始め、来年の実用化をめざす。価格は6000円程度に抑える方針。 ちなみに、「サヤカ」の名は開発スタッフらが女性名からつけた。 前モデル「ノリカ」の画像がゆがむ欠点を克服した。 asahi.com be on Sunday 2006.03.12
http://www.be.asahi.com/be_s/20060312/20060216TKAI0007A.html